窓の外は粉雪舞っている。こんな日はじとじとと思い出話…
pisan
 待っても彼は帰らなかった。分かっていた。去年帰ってきた日に感じた印象「歳とったな」と思わず言葉に出た。彼も「お前もな!」と返したけど。 彼は去年ふるさとで亡くなっていたのだろう。8歳だから野生の鳥では長寿だろう。愛妻のビジーさんはどうしたのだろう。
 ピーサンはビジーを大切にしていた。ビジーは3番目の妻だった。最初は年上のグラマーさん、よく喧嘩していたなぁ。原因はいつも同じ。「あんたの考え方はすずめなのよ!」と言われていた。だってピーサンは親にはぐれて困り果てていた時、7羽のすずめセブンベイブスに出会い後をついて歩いていた。窓からおずおずと入ってきてパンを貪り食った。その間もセブン達に「じゃま」とかいわれていた。みかんをやると喜んで食べた。ミカン,ほしぶどうパンが特に好きだった。 いつもすずめと一緒に行動していた。他のヒヨドリが窓のみかんを狙ってくると激しく戦い追いかけた。小柄なのにとても強かった。
 次の年の春、大柄のメス=グラマーさんを連れてきた。子供はコピーとチピの2羽が産まれた。夏には旅立った。その頃はひよどりの習慣が分からず心配したものだった。ピーサンはこの辺りで産まれ親にはぐれたので、ふるさとを知らないからグラマーさんの言うままに彼女の故郷へ行ったと思う。 翌年2月に幼妻ピーヨンと二人で帰ってきた。「あれっグラマーさんは?」と聞くと「あいつ、いつもあんたはすずめか!って言うんだ」と言った…と思う。いつも喧嘩していたものなあ。それで懲りて今度は幼な妻にしたんだね。2度目の妻ピーヨンとも2羽の子供を作ったが翌年は一ヶ月も遅れて戻った。死に別れたのかピーヨンではなくビジーさんを連れてきた。遅れたのは悲しみで放浪していたのか、それとも飛びっきりの美人を探していたためかな。それから5年か。中むつまじい夫婦だった。去年は4羽も子供を孵した。子供の名前は毎年同じでコピー(子供のピー)、チピー(小さいピー)、ミピー(ミニのピー)、初めての4番目は名前に困ったがリトルピーでリピー。2月から7月の半年間。旅に出た後のさびしい半年。ピーさんとの8年間。
  でもここで終わらない、ピーサン亡き後窓から飛び込んできたのは最後の年の長男のコピー君でした。テーブルの上で足を踏ん張って周りを見渡し懐かしそうな顔をした後「これからおいらが縄張りを守ります!」と宣言しました…と物語は続くのでした~  
0207yuki
足場の覆いに雪が!みんな待っててね~